酵素カラーとは何か?その基本イメージ
酵素カラーは、製品に配合された酵素の働きを活用して色素を髪内部へ導くことをうたうヘアカラーの一種です。
一般的なアルカリカラーやブリーチと比べて、アルカリ剤や過酸化水素の使用量を抑え、髪への負担を軽くする処方が多くあります。
商品ごとに成分や処方が異なるため、すべてが同じ効果を出すわけではありませんが、低刺激やしなやかな仕上がりを重視する人に選ばれることが増えています。
酵素カラーの主なメリット
- ダメージ軽減、ツヤや手触りがよくなる傾向がある
- 染色時のツンとした臭いが少ない
- 色が入りにくい髪にもなじみやすいと感じる人がいる
- 敏感肌向けに低刺激処方を採用している
他のカラーとの違い
アルカリカラーとの違い
アルカリカラーは髪のキューティクルを開いて色素を強制的に入れるため、明るさ調整や白髪染めに高い効果を発揮します。
一方、酵素カラーはアルカリ剤や過酸化水素の使用を抑えてダメージを減らすことを重視するため、明るくする力(脱色力)は弱めです。
白髪のカバー力やトーンアップを重視する場合はアルカリカラーの方が適していることが多いです。
ブリーチ(脱色)との違い
ブリーチはメラニン色素を分解して髪を明るくする処理で、どうしても水分が失われてしまいダメージが出て感じます。
酵素カラーは脱色を前提とした方法ではないため、ブリーチの代替にはなりません。ハイライトや大きく明るくする施術を望む場合はブリーチやハイライト技術が必要です。
酸性カラー・カラートリートメントとの違い
酸性カラー(ヘアマニキュア)やカラートリートメントは髪表面に色を付ける方式が中心で、ダメージは少ないですが色持ちは限定的です。
酵素カラーは内部に色素を導入することを目指しており、酸性カラーよりは色持ちが期待できるケースがありますが、アルカリカラーほどの持続力はない場合があります。
ヘナとの違い
ヘナは天然染料で髪表面に色を付ける傾向があります。天然成分志向の点では共通する面もありますが、ヘナは色調や仕上がりのコントロールが難しく、酵素カラーはより目的に合わせた色味を出しやすい点が異なります。
ダメージを抑える仕組みとその限界
酵素カラーでよく使われるアプローチは、「酵素によって髪表面の処理を補助し、アルカリや過酸化水素の使用量を減らす」ことです。
酵素がキューティクルの一部をやわらげて色素浸透を助ける、あるいは色素の定着を助けることで低刺激化を図ります。ただし酵素が髪の主成分を分解するわけではないため、製品ごとの配合やpH管理が重要です。
限界としては、強い脱色(明るくする)や短時間での大幅なトーンアップは苦手であり、既にダメージが強い髪では期待したほどダメージ軽減効果が出ないことがあります。また「低刺激=安全」とは限らず、成分によるアレルギー反応は全くないとは言い切れません。
サロンでの施術の流れと家庭での使い方の違い
- カウンセリング:髪質・履歴(カラー履歴)を確認
- パッチテスト:敏感な人は事前の皮膚テストを行う
- 施術:酵素入りの薬剤を塗布、一定時間おいて洗い流し
- トリートメント:色持ちと手触りを整える処理を追加
ホーム用はサロン用より強度を抑えた処方が多く、自己判断で使用すると期待通りの仕上がりにならない場合があります。特に既染部やブリーチ履歴がある場合はサロンでの相談を推奨します。
酵素カラーを選ぶ際にチェックするポイント
- 成分表示:アルカリ剤や過酸化水素の濃度表示(可能な範囲で)
- サロンの施術実績と仕上がり写真
- 敏感肌対応の記載やパッチテストの推奨
- 色持ちや明るさの限界を事前に確認する
ホームケアでダメージを最小限にする方法
- 低刺激のシャンプー(硫酸系界面活性剤の低いもの)を選ぶ
- カラー専用または保湿重視のトリートメントを定期的に行う
- ドライヤーやアイロンの熱ダメージを抑える(低温設定やヒートプロテクターの使用)
- 紫外線対策(帽子やUVカットスプレー)で色あせを抑える
Q&A(よくある質問)
Q1. 酵素カラーは本当に髪が傷まないですか?
A1. 完全に傷まないわけではありませんが、製品によってはアルカリや過酸化水素を抑え、ダメージを軽減する設計になっています。効果は髪質や履歴、施術の方法によって変わります。
Q2. 白髪をしっかり染められますか?
A2. 製品によります。白髪カバー力が高い酵素カラーもありますが、アルカリカラーほど高いカバー力を持たない場合もあるため、サロンでの相談が望ましいです。
Q3. ブリーチした髪にも使えますか?
A3. ブリーチ毛は非常にデリケートなので、使用できても仕上がりが不安定になったりダメージが目立つことがあります。必ずサロンで状態を見てもらってください。
Q4. 頭皮が敏感でも使えますか?
A4. 敏感肌向けの低刺激処方の製品もありますが、パッチテストを行い、異常があれば使用を中止してください。自己判断での長時間放置は避けましょう。
Q5. 色持ちはどれくらいですか?
A5. 製品や色味、シャンプー頻度によりますが、一般的にアルカリカラーより色落ちしやすい場合があります。色持ちをよくするにはカラー用シャンプーや適切なトリートメントが有効です。
Q6. サロンと市販品の違いは?
A6. サロンではプロの技術やカウンセリング、複数の薬剤を組み合わせた調整が可能なため、より安全で期待通りの仕上がりになりやすいです。市販品は手軽ですが自己判断でのリスクがあります。
Q7. 施術頻度はどれくらいが適切ですか?
A7. 髪の状態と色の退色具合にもよりますが、通常は6〜8週間を目安に考えるサロンが多いです。頻度を上げすぎるとダメージが蓄積するため注意してください。
酵素カラーは「ダメージを少なく染めたい」「匂いが気になる」「敏感肌寄りで刺激を抑えたい」といったニーズに応える選択肢の一つです。
ただし、製品の特性や限界を理解して、サロンでの相談や適切なホームケアを組み合わせることが最も大切です。自分の髪質や仕上がりイメージを事前に整理して、安心できる方法を選んでください。